メディアでも取り上げられることが多くなってきた米国弁護士資格。実は日本でもニーズが今後高まってくることになります。
有資格者がまだまだ少ない日本
日本人で米国弁護士資格を持っている人は、大多数がニューヨーク州かカリフォルニア州弁護士資格(またはその両方)です。
その米国弁護士資格保持者が、日本の企業で高く評価されている理由の一つとして、日本には有資格者が少ないことが挙げられます。
米国では、企業の法務部においては基本的に全員が弁護士です。その一方、日本の法務部は弁護士ではない社員が多いのが実情。
最近は日本でもインハウスローヤーと言われる企業内弁護士が増えていますが、日本組織内弁護士協会の2018年統計資料によると、日本全体における企業内弁護士率はわずか5.4%です。
このように日米の企業法務を比べるとおおきな「ギャップ」、すなわち弁護士がいるかいないかという根本的な違いがあります。
私はニューヨーク州弁護士資格を持っており、日本の企業で勤務した経験があります。
その法務部には数十人の社員がいましたが、執行役員を含めて弁護士は一人もいませんでした。
今後は企業法務でも弁護士が増えていく傾向ですが、その数は限定的でしょう。
海外事業展開とインバウンド需要がますます進んでいる今、法務案件に国境はなくなってきました。
国際法務案件を扱うことが出来る有資格者なくして、日本企業は海外の弁護士と対等に取引や紛争解決をすることができるのでしょうか。
ニーズがますます高まる米国弁護士資格
では、具体的にどのような場面で米国弁護士資格が評価されるのでしょうか。
今後は海外にビジネスを展開する日本企業がさらに増えていきます。
例えばアメリカなどグローバル企業と事業をするとなったします。
対等に交渉を進めるためにも米国弁護士資格保持者が日本側にいるかいないかで大きな差がでることがあります。
対等というのはテクニカルな面もありますが、人間同士のやりとりなので感情や印象も無視できません。
弁護士同士でしたらお互いを尊重し合う風潮がありますし、ロースクールはどこに行ってどうだったなどのビジネス以外の会話もしやすくなります。
こちらが日本人で英語がネイティブレベルではなくても、同じ弁護士であればコミュニケーションが問題ないと認識してもらえます。
英語がビジネスレベル、米国弁護士資格もあれば大きな武器になるでしょう。
企業法務では弁護士実務の要素は少ないと思われがちですが、弁護士資格は大いに役立ちます。
まとめ
世界的に見ても、米国弁護士資格は最難関な資格の一つです。よってアメリカをはじめ諸外国の弁護士と対等に交渉を進め、日本企業をリードしていくことができる資質を持ち合わせているのが米国弁護士と言えます。
今後もグローバル化が進みますので、米国弁護士は日本では引く手あまたな人材となることは間違いないでしょう。
合わせて読みたい関連記事
コメントを残す