こんにちは、リッキー徳永です。
英単語一つとっても、議論がエンドレスになることもあります。解釈がどうにでもとれたり、用法がいくつもあったり、それは日本語と同じですね。
日常会話でしたら一つの単語に神経を使う必要はありません。
しかし契約書となると時には注意が必要です。
そのひとつに、よく見るshallという単語。これは実はくせ者です。
そもそも普段はめったに使うことがない英語ですし、契約書でも使い方が人それぞれ。
困ったことに解釈も人それぞれと言わざるを得ません。
Shallは契約書で多用されているのに、正しく使えていない、または正しく意味を理解できていない人が多いのが現状です。
Shallの意味
映画のShall We Dance? をご存知だと思いますが、このshallの意味は「~しましょうか」となります。
しかし英文契約書で使用されるshallは、「~しなければならない」という解釈が一般的です。
でも辞書に載っているshallの意味はほかにもあり、「~でしょう」とか「きっと~する」などがあります。
場合によっては、このshallがmay「~してもよい」という許可を表すこともあるのです。
通常のイメージとしては、大抵の場合shallは「〜しなければならない」と解釈されます。
しかし僕が見る限りその使いかたが間違っていたり、ほかの意味にとれることもあります。
要注意なのがshallの特徴と言ってもよいでしょう。
判例
アメリカの判例でもはっきりしていて、shallの意味そのものがとても曖昧だということを示しています。
最高裁判所の判例でもshallの問題点を指摘しています。
Shallはmust(〜しなければならない)だけではなく、may(〜してもよい)とかwill(〜だろう)、そしてisというbe動詞の意味にもなります。
このようにアメリカの裁判所もshallがくせ者だということを判断しています。
裁判所以外でも連邦政府の法規範文書ではshallを使わなくなり、代わりにmustを使っています。
アメリカ最高裁もshallに反対しています。
Shallではなくmust
Shallを使うのをやめる動きは、アメリカの裁判所、連邦政府、弁護士の間でもより加速していきます。
「〜しなければいけない」という契約書の基本である義務を表す単語は、mustを使うことによって、分かりやすさは格段に向上します。
その一方で、shall はアメリカ、オーストラリア、英国などでは法曹界では浸透している単語です。
一般的なビジネス契約書においては shall をまったく使わずに must だけで通せるかと言えば、それは定かではありません。
状況に応じて使い分ける必要があるでしょう。
まとめ
英文契約書で多用されがちなshallは多くの問題点があります。状況に応じて使い分け、契約書を向上させる必要があります。